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明仁天皇と平和主義(朝日新書)の紹介

(Amazon サイトより転載)
内容紹介
天皇陛下の平和を希求する強い気持ちは、どこに源流を発しているか──
膨大な文献と証言から、ご誕生からの歴史的、個人的事蹟を丹念に読み解き、
「人間」としての天皇の自己形成の道程をたどる。
果てしない慰霊の旅と祈りの原点とは。

【目次】
序章 何を思い、何を考えて成長していったのか
・少年時代の作文に現れた二つの顔
・太宰治と天皇
・苦悩する青年

I 明仁天皇の自己形成――戦争という時代の下で――
第一章 皇太子の誕生と幼年期
・二回鳴ったサイレン
・空前の奉祝行事
・昭和八年の時代状況
・「私は家庭生活をしてこなかった」
・東宮仮御所と幼稚園教育
ほか

第二章 学習院初等科への入学
・院長山梨勝之進と教育方針
・厳選された六七人の同級生
・初等科での「特別扱い」
・公立小学校との違い
・学校生活への適応と皇后の配慮
ほか

II 象徴天皇の理念と平和主義
第一章 日本国憲法の下での薫陶
・占領下、学習院中等科・高等科へ進学
・ヴァイニング夫人との出会い
・夫人が教えた「主体性」
・英語の名前
・小泉信三による「天皇学」
ほか

第二章 明仁天皇の公務と意思
――普遍的な価値としての平和の創出――
・象徴とロボット
・「象徴とはどうあるべきか」
・二〇一一年、激動の年の公務が始まる
・守り継ぐべき宮中祭祀
・東日本大震災への明仁天皇と美智子皇后の行動
ほか

終章 穏やかな表情
・「新日本の建設」が示すもの
・国民への共感と共苦
・平和への意思
・忘れてはならない日
・「非権力性」への志向
ほか

内容(「BOOK」データベースより)
「なぜ日本は特攻隊戦法をとらなければならないの」少年時に芽生えたと思われる「非権力」志向、疎開体験、リベラルな米国人女性教師と小泉信三の薫陶、そして「平和の同志」美智子さまとの出会い―。果てしない慰霊の旅と祈りをもって平和主義を体現する肖像を描く。

両陛下の体現する三つの理念に強く共感する
投稿者コナン.O. ベスト500レビュアー2015年7月19日
形式: 新書
教育史を専門とする学習院大学教授の斉藤利彦氏が、今上天皇の自己形成の道程とそこから生まれた平和への希求について考察したものである。
本書では、昭和8年に生まれ、自ら「戦争の無い時を知らない」と言う幼少期・少年期から、天皇陛下の自己形成に大きな影響を与えたと言われるヴァイニング夫人、小泉信三氏との交流を経て、美智子様と出会い、日本国憲法により定められた「象徴天皇」のあるべき姿を思索し行動する中で、たどり着いた「象徴天皇」の理念と意志が、「国民への共感と共苦」、「平和への貢献」(ここでいう「平和」とは、単に戦争のない状態のみならず、国民生活の基底としての平穏と安定が得られた状態を示す)、「非権力性」であったことが、多数の当時の天皇陛下の言葉とともに述べられている。
近年の天皇陛下と皇后陛下の姿としては、今年、太平洋戦争の激戦地であったペリリュー島を追悼訪して拝礼される姿と、何と言っても、東日本大震災後に被災地を見舞われ、ひざまずいて被災者の目線で話をされる姿が強烈に印象に残っており、いずれも本書でも取り上げられている。
被災地訪問時の両陛下の行動については、「何もあそこまで」と言う宮内庁幹部がいたり、阪神淡路大震災の時に、評論家の江藤淳は「何もひざまずく必要はない。被災者と同じ目線である必要もない。現行憲法上も特別な地位に立っておられる方々であってみれば、立ったままで構わない。馬上であろうと車上であろうと良い」と苦言を呈したともいうが、それについて、「天皇と皇后が自らの意志で行った、こうした行為こそが、二人の真情を率直にあらわしているのではないだろうか。誰も、人間の真摯で率直な行為を止めることはできないのである」と語る著者に同意する。
また、天皇陛下と意志を共有されている皇后陛下についても多くが語られており、私には、皇后陛下が、知人の言葉に仮託してご自分の信条を語った、「ずっと忘れられずにいることは、「無関心であることが魂の平安であってはならない」といった一人の人の訴えでございました」という言葉が、多くの天皇陛下の言葉とともに、強く心に残った。
両陛下の体現する三つの理念に強く共感するとともに、それを多くの人々と共有するきっかけとなって欲しい書である。
(2015年7月了)
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Author:万年哲学者(Always Philosopher)
 "万年哲学者" を自任する80代が半世紀かけて解明した"いのち" の真実を、若者たちに伝えるために発信するブログです。"真実" とは100年経っても価値を失わない発見や表現を意味しています。

 25年前の1991年には日本情報処理開発協会主催公募エッセイ「私たちのくらしと情報化」が最優秀賞を受賞したことがあります。(ブログ内で原文をリンク)情報を心の栄養とみて健全な知情意を育成するために必要な情報論を展開し、その後の急激な情報化の潮流に対して問題点を先取りした内容と自負しています。

 戦後70年にあたる2015年8月、ボランティアで続けてきたHP<戦争を語りつぐ証言集>(http://www.geocities.jo/shougen60/) が延べアクセス23万回となり毎日新聞でも紹介されました。戦争やテロほど生命を破壊する所業はありません。

 今後は "超人類" へ飛躍する未来をひらく「生命の哲学」に関連ある情報を提供したいと願っています。

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