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人体をモデルとする組織論

    [目 次]
      
   (一)人体は理想の組織 ・・・・・・・・・・・・・・・  
   
(二)情報は心の栄養・・・・・・・・・・・・・・・・・    
   (三)組織の一体性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
   (四)環境に対応する頭脳の役割 ・・・・・・・・・・・
   (五)双方向コニュニケーションの重要性 ・・・・・・・
   (六)頭と手足の役目・・・・・・・・・・・・・・・・・
   (七)健康診断と体質改善 ・・・・・・・・・・・・・・
   (八)むすび ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(1)人体は理想の組織

 実際に「体」という文字は、人間が構成しているあらゆる集団(団体)を表す場合に用いられる。組織「全体」の「体質」改善が必要とされる場合もある。何事をするにも全員が「一体化」しなければ成功はおぼつかないし、「体制」を立て直さなければならない場合もある。その他、体系、自治体、共同体、具体化、総体的──等々「体」という文字のついた言葉は枚挙にいとまがない。七十年前の敗戦までは「国体」というキーワードがさかんに使われた。それは国民体育大会の略語ではなく、天皇制を中心とする日本国の独自性を強調する言葉であった。
 
 近代以後、人体の精緻な構造や機能が科学的に解明され、いまや脳神経系のネットワーク・システムをはじめ遺伝子情報の解読が分子生物学や遺伝子工学の研究対象となっている。神経系のネットワークは全身の隅々まで情報伝達の役割をもっている。大脳皮質は、知覚・思考・判断など情報処理の中枢である。内分泌系は血液循環を介してホルモンによる情報伝達を受け持っている。遺伝子はあらゆる細胞内にあって膨大な情報を保存している。これらは分子言語による情報システムということができる。


 一方、日進月歩の電子工業の発展とともに、インターネットによる電子的コミュニケーション・ネットワークによる高度な情報化が進められている。それらの情報技術を応用した経営情報システム(MIS)が必要とされる昨今、経営管理における情報の重要性について、さまざまな議論がなされ、関連する文献が出版されている。

 たしかに情報というものは、人間にとって「心の飲食物」と同じ意味をもっている。体が栄養を吸収して成長するために飲食物が必要であるように、物事を正しく判断するためには、目や耳を通しての情報が欠かせない。情報を軽視する組織は、目や耳を塞いだ人のように、まともに動くことはできない。逆に過剰な情報を無分別に受け入れると、消化不良や肥満体になりかねない。人体における神経活動やホルモンが全身の隅々まで伝わるように、情報も組織全体に伝達される必要がある。もしそうでなければ、マヒやケイレンに似た病的現象を引き起こすことになる。

 本論の主旨は、時代の趨勢に関わりなく、あらゆる組織システムのあり方を、人体をモデルとして考えることにある。生命進化の頂点にある人体は、すでに数万年前より完璧なシステムによって生命を維持し、進化と成長を続けている。とすれば、人体をモデルとして、組織の一体化を図ることが何より大事であるに違いない。

 人体は決して部分の集合ではなく、全体として統合された組織であり完全なシステムである。21世紀に組織が生き残り、さらに発展するためには。いかに人体に等しい一体性システムを構築するかにかかっている。

(2)組織の一体性

 天然自然の法則に反した不調和の状態がつづくと、体内の血液が汚れ、内臓に異常が現れ、あるいは神経がマヒするように、人間の集合体としての組織にも不健康な兆候が現れてくる。例えば、脳梗塞やガンをはじめとする身体のさまざまな病変と等しい症状が組織にも見られるのである。経営専門誌『プレジデント』(99年10月号)は《「知の経営」で「脳梗塞組織」を打ち破れ》と題する特集を組んで、ナレッジ・マネジメント(知の経営)の必要性についてさまざまな角度から分析している。こうした脳の病変というべき症状は、単に企業だけではなく、あらゆる組織について見ることができる。

 人体には、頭から手足の先まで血液が循環し、神経が中枢から末梢に至るまで網の目のように全身に拡がっている。それは栄養物や情報を隅々まで伝達するための生命システムである。

 身体の中枢に当たる脳の役目が最も重要であることはいうまでもない。だから、脳には神経細胞が集中し、血液が最も多量に循環している。目・耳・鼻などの感覚器官および体内各部からの情報は、すべて脳の特定の領野に伝達される。そして必要に応じて取捨選択されて認知され処理される。人において最も進化した大脳皮質は、内外からの情報を適切に処理し、どのように対処するべきかを判断し、どう動くべきかを手足の運動神経に伝達するための意識の場にほかならない。その目的は、危険を避け、安全を確保し、さらに適切な目的行動を選択することにある。感覚を遮断した状態や老人性痴呆状態で正しい行動を起こすことはできない。頭脳の役割は、情報処理をもとにした未来への正しい方向づけにあることはいうまでもない。

 こうした神経系による情報伝達とともに、血液の循環が生きていくために不可欠である。組織にとって経理・財政は、人体にとっての血液と同じ役目を果たしている。収支決算は血液循環に相当する。人件費その他のコストは、人体を構成する細胞が生きていくために必要なカロリー量に等しい。やむを得ず借金という名の輸血が必要となる場合もある。血液の循環が悪いために低血圧や貧血の症状、つまり倒産寸前の状態に陥ることもある。

 バブル経済の崩壊とともに表面化した金融機関の放漫経営の実態は、出血多量のために重体に陥った実例といえる。株式投資や不動産投資、さらにゴルフ場の開発などで「泡(バブル)を喰った」経営者が会社を破産に追い込んだ事件が多発したが、まさに組織の頭脳が判断を誤ったためである。銀行の不良債権や不正融資などの問題は、すべて血液(資金)循環の不健全な症状を表している。

 組織の健全な経済状態とは、健康な体内できれいな血が滞りなく隅々まで循環している状態に等しい。もし体内の一部に血が滞ると、そこに病変がおこる危険が生じる。また血液が不足した細胞は死滅してしまう。頭にばかり血が上がると脳出血を起こす危険が生じる。現にそうした瀕死の症状を呈する組織も多く見られる。
『倒産の研究』(日経ベンチャー編)という書物には、実際に倒産した企業の実例をもとに、その原因が羅列されている。いわく「放漫・粉飾の誘惑」「ワンマン社長の暴走」「同族経営の葛藤」「金欠という名の突然死」等々。いずれの場合にも、頭脳の役目をもつトップの責任は大きい。にもかかわらず、責任逃れをして恥じないトップがある。個人の場合でも、所有欲、名誉欲、支配欲、金銭欲などに目がくらんだ行為をする原因は、大脳がバブルのように膨らんだ欲望で冷静な判断を失ったためであって、手足が勝手に行動を起こすのではない。頭脳に当たる組織のトップは、組織を構成する人々全体に責任を負っている。

(3)環境に対応する頭脳の役割



 組織を一人の人体として見るとき、頭脳の中枢に位置するトップや役員の果たすべき役割が明らかとなる。何よりも広い視野をもって情報を収集し、適切に処理できるかどうかが問題となる。
 人体の場合、もし感覚が正常でなければ、正しい情報は得られない。「近視眼的な見方」とか「視野が狭い」という表現は、心の状態を表すために用いられる。どんなに有益な意見でも「耳に栓」をしていては聞き取ることはできない。皮膚の触覚は最も原始的な感覚であり、子どもを育てるためのスキンシップばかりでなく、組織内の人間関係にも密接な接触(肌のふれ合い)が大切である。
 もちろん、情報は直接の感覚刺激だけではない。テレビやラジオは目や耳の延長であり、居ながらにして世界の動きが映像や音声として伝えられる。感覚を超えてあらゆる情報を収集し、過去の反省と未来の予測をすることが必要となる。さらに世界中に急激に普及したインターネットは、人体にとっていえば、体の隅々まで張りめぐらされている神経系のネットワークに匹敵する情報伝達の機能をもっている。

 人間に限らずいのちあるものは開放系のシステムをもつといわれている。自然や社会の環境から必要なものを吸収し、不要になったものを排出することによって、恒常性を保ちながら生きているからである。

 もし生物が閉鎖系のシステムであるとしたら、環境への適応や進化は起こり得なかったに違いない。環境の変化を無視して生きのびることはできないからである。地球上で人間だけが閉鎖的なシステムをとり、他の動植物を排除することはできない。自然も動植物も人類も、すべてがつながり合って共生しているという一体意識がなければ、地球全体のシステムは崩壊せざるを得ない。生産者と消費者、組織の頭と手足、中枢と末端などの関係も一体的な共生の関係として認識することが必要である。そうした地球や社会全体との一体性を無視してきた結果が、環境破壊や企業経営や組織運営の行き詰まりが拡大する一因になっているということができる。

 私利私欲だけを求めて他を顧みない個人が、周りから爪弾きされても仕方ないように、自らの利益を追求するだけの組織は生きのびることはできない。自然の生態系には、一個体や一種属だけが無限に増殖する生物は存在しない。種ごとに一定の大きさになれば成長が止まるから全体のバランスがとれるのである。昆虫や鳥類が百キロの体重になったり、人の身長が3メートル以上に成長すればどうにもならない。図体が大きいからといって優秀なわけではない。巨大な恐竜のように経済が成長し過ぎると、環境とのバランスを失って絶滅するほかはない。

 いうまでもなく、人体に頭脳があるのは全身が目的をもって活動するためであって、頭脳自体のためではない。もちろん頭だけでは生きていくことはできない。心臓や胃腸・肝臓・腎臓などの内臓だけでも生命は全うできない。手足や皮膚の細胞に至るまで、全身が一体となって調和のとれた働きをしているのがいのちのシステムである。

 それでは、組織を構成する一人ひとりは一つの細胞に過ぎないのかと反論されるかも知れない。事実、身体はすべて細胞から成り立っている。ただ細胞によって部位や役割が違うだけである。細胞は、どれ一つをとっても生体組織を構成する基礎である。体内のあらゆる細胞には、すべて同じ遺伝子が保有されているという。全体の情報を保有する事によって、全体の中の個の役割を認識でき、初めて全体との調和と協同が可能となる。その意味で、最近の情報公開を求める動きは生命の本質に適合している。自分の属する組織全体の目的や現状を認識し、その中での個々の役割を自覚することなしに、人は生き甲斐をもって価値ある人生を歩むことはできない。

 細胞の有機的なつながりが生命である故に、一つの細胞といえどもおろそかにできない。一つの異常な細胞が全身のガン細胞に病変することもある。また、脳中枢の他に脊髄をはじめ体内の各部位には自律的な中枢や神経節があって、反復運動や中枢へのフィードバック(情報の割り戻し)を司っている。それは組織においては、ミドル・マネジメント(中間管理者)および支部や営業所に相当している。

 アメリカの半導体産業のトップを占めるインテル社に例をとってみれば、同社を世界最強の企業にまで育て上げたA.S.グローブ社長は、内外の情報収集にエネルギーを注ぎ、適切な情報処理をもとに意思決定していること、つまり見事に頭脳の役割を果たしていることを理解できる。(『インテル経営の秘密』小林薫訳・参照)

(4)双方向コミュニケーションの重要性



 これまで述べてきたように、人体にとって情報の役割は大きい。外からの情報ばかりではない。体内からの情報も、それ以上に重要である。脳中枢は、末梢に指令を伝えるだけではなく、体内(皮膚を含む)からのあらゆる情報を受け取って敏速に処理しているからこそ、人は正常に活動できるのである。いくら情報量がたくさんあっても、脳中枢に伝達され処理されない限り、コミュニケーションは成立しない。

 例を挙げるまでもないが、水の入ったコップを手に持って水を飲むという単純な動作をするにも、どれほど複雑で精妙な筋肉の協同作業が行われているかが分かる。電子工学の基礎となったN.ウィナーの「サイバネティクス」は、人体のフィードバック(情報の割り戻し)機能をもとに発想された自動制御理論である。片手の5本の指、あるいは両手の10本の指で物を掴むためには、親指からこ小指までの精妙な協力がなければ不可能である。そうした動作が自由にできるのは、体内の筋肉の一本々々に、末梢から中枢へ情報を伝達するための筋紡錘と呼ばれる細胞があり、末梢神経から情報を受け取って筋肉の収縮と弛緩をコントロールするフィードバック・システムが脳の中枢にあるからだ。これらは無意識の機能だが、同時に視覚を通しても意識的に動作を調整している。こうした人体の神経系をモデルとすれば、トップダウン型・ボトムアップ型の両方のマネジメントの必要性が理解できる。

 胃腸や胆嚢などの内臓に異常があるとき痛みが起こるのも、皮膚が熱さや痒みを感じるのも、いずれも体の表面や内部からの情報にほかならない。そういう警報があるからこそ、未然に異常を感知して、早期に治療への対処ができるのである。

 組織にあっても同様である。上からの一方通行(トップダウン)だけではスムーズに業務は遂行できない。末端の現場からの情報を受け取るボトムアップ型のシステムがないということは、ちょうど皮膚の感覚がマヒして火傷をしても気づかない状態に等しい。あるいは胃に潰瘍があるのを知らずに酒を飲みつづけている状態ともいうことができる。
 もちろん神経系の働きだけではなく、前述したとおり、血液の循環と浄化も大切である。組織の血液に当たる財政経理を末端まで行き渡るように循環させること、つまり組織全員の生活を保障することも組織の成長発展のために欠かすことはできない。

 企業組織の場合、感覚的な痛みや痒みに当たるのが、社内にあっては末端の現場で働く従業員、社外にあっては商品に対する顧客層の不満や要望である。そうした不満や要求が発生する原因を突き止め、さらに建設的な意見を吸い上げることが企業活動にとって生体におけるフィードバックの役目を果たすことになる。発展しつつある企業のトップに見られる特長は、例外なく、現場からの提案を尊重し、顧客の不満や批判を感謝して謙虚に受け止める姿勢にあるという。

 先に挙げた経営誌『マネジメント』に紹介されている優良企業では、「気楽にまじめな話をする場」を設定し、幹部を対象に「弱みの研究会」を開いて率直な対話を奨励しているという。またインテル社では、マネジメントの成果を挙げるためにチームワークによる経営管理が行われ、管理者と部下との一対一のミーティングをはじめ、スタッフ・ミーティング(部内会議)や管理者同士のミーティングが重視されている。

 本来、日本的経営とかアメリカ的経営とか区別すること自体は重要ではない。肌の色が違いこそすれ、人体の構造や機能は日本人も欧米人も同じだから、要は人体システムに合致しているかどうかが理想のマネジメントを構築する条件に違いない。

(5)頭と手足

の役目 

 人体には自律神経系やホルモン系のネットワークがあって、内臓の働きが無意識のうちにコントロールされている。随意的な判断を必要としないという点で、まさに自律的なシステムといえる。一方、本能的な衝動は、理性的な判断や抑制によってコントロールされる。そのバランスが失われると、自律神経失調をはじめ身体的な異常が生じ、健康を害することになる。

 中枢神経系は、脳神経と脊髄神経から成り、いずれも脳幹を出発点としている。脊髄の各部位からは31対の末梢神経が出ている。自律神経系は、脳幹を中枢とする交感神経と脊髄から出ている副交感神経が互いに拮抗する作用をもっている。これらの神経系における情報伝達は、決してタテの一方通行ではなく、中枢と末梢との間にコミニュケーション(情報交換)が行われ、互いにヨコの連絡を保っている。人体の70兆にのぼる細胞を統御するためには、神経系にせよホルモン系・リンパ系にせよ、縦横に張りめぐらされたネットワークによって、まさに「一手一つ」に協力して働いている。これこそ人知を超えた「神の組織」である。

 もし脳に障害を起こした個人が本能のままに行動すれば、周囲の人間関係を破壊するばかりか、ついには自分の生存が許されない危険に追い込まれることは当然である。内外からの情報を無視し理性の判断を失った独裁的な権力組織は、まさに脳障害のために狂気に陥った個人の行動に等しい結果をもたらすに違いない。この場合、人間の本能は、権力欲・支配欲・所有欲・名誉欲など際限なく拡大されていくのである。

 いかなる組織にも目的がある。企業(株式会社)は、製造・販売・サービス・その他、さまざまな営利的な事業を展開する組織である。NPOのようなボランティア組織もある。教育・宗教・芸術の普及を目的とする組織もある。いずれの組織にせよ、人体の構造と機能と合致するシステムをもつ組織は成長発展し、そうでない組織は衰退消滅するであろう。戦後、0から出発して世界に名を知られるまでに発展した企業(例えばソニー・ホンダ・ナショナルなど)は、研究開発や情報収集に全力を挙げるとともに、末端の社員の声を吸い上げるシステムづくりに力を入れている。いわば「元の理」に適った「一手一つ」の体制を確立している。手だけが一つになるのではなく、頭脳である本社に優れた研究開発の体制を確立している。

 要するに、頭には頭の役割があり、内臓や手足にもそれぞれの役目がある。全体としての人体の目的は、周囲の環境に対応して、いかに全身が健康状態を維持し成長できるかにある。環境を破壊してまで必要以上に肥大した欲望を追求するようなシステムは、もともと生命のシステムには存在しない。

 正常な意識をもつ頭脳は、外からの情報はいうまでもなく、体内からの情報を正しく処理し、次にとるべき行動を手足に伝達することができる。手足の動きはつねに頭脳へフィードバックされコントロールされる。全身の隅々にまで十分に血液が循環し、自律神経やホルモンのバランスが維持されている。神が創造し給うた人体をモデルとして組織・制度のシステムを構築することが最も理に適った姿であり、そのための改革なしに組織の成長発展はあり得ないであろう。

(6)健康診断と体質改善

 体の健康に不安があったり異常を感じた場合、病院へ足を運んで診察を受けるのが通常である。例え自覚症状がない場合でも、年一回の健康診断を受けるのが良いとされている。

 病院へ行けば、まず血液検査があり、尿や便が採取される。超短波検診やレントゲン撮影をすることもある。その目的はすべて、体内のどこが悪いかを確かめるためである。悪いところが分からなければ治療を始めることはできない。

 例えば、心臓カテーテルという検査を私は受けたことがある。足のつけ根にある動脈から細い管を心臓まで通し、その先から造影剤を放出すると同時にレントゲン撮影をすると、心臓の血管が枝分かれした先端まで見事に映し出され、血管が細くなったり詰まっている箇所を確認することができる。幸い私の場合は血管に異常はなかったが、もし血管が細くなっていると、再度カテーテルを挿入し、確定した部位へ達すると、その先から風船を膨らませて血管を拡げ、再び詰まらないようにリングをはめる治療を行うこともある。それは心筋梗塞などの症状に有効な治療法となっている。
 重ねていえば、病気の治療は、まず体内の悪い箇所を検査し確定することから始まる。とすれば、人体をモデルとして組織を考える場合、やはり組織の中でどこか悪いところがないかどうか、あるとすればどの部分か、について診断することが必要となるのは当然であろう。

 人知を超えて完全で精妙な身体でさえ病気になることがあるとすれば、人間の集合体である組織にも悪いところが発生するのは当然である。人体システムに照らして組織の悪いところを指摘し批判するのは、ちょうど病気になった体の悪いところを検査し診断することに等しい。検診なしに治療ができないのと同様に、組織においても客観的な批判を受け入れなければ改革を始めることはできない。

 もし組織に対する批判を拒否し、一切の批判を受け入れない組織があるとすれば、それは自分は絶対に病気になることはないと過信している態度であり、仮に病気になっても検診を拒否し、治療を一切する必要はないと主張するに等しいといわねばならない。

「病の元は心から」と教えられる。おたすけに欠かせないのは、心のホコリを自覚し反省することである。心の立て替えなしに真のたすかりはない。もし本人が自分のホコリに気づいていない場合、立て替えるべき点を伝えて気づいてもらうことが必要となる。言い換えれば、悪いところ(ホコリ)が分からなければ心の立て替えはできない。

 体も心も、良くなるためには先ず何が障害になっているのかを診断しなければ、たすからない。心の立て替えをしなければ成人することはできない。

 身体をお借りして心の自由を許された人間の集団である組織において、身心と同様に不健康な異常が起こり障害が生じるのは当然のことである。ところが、組織に限っては、悪いところを確認するための診断(批判)や治療(改革)を受け入れないというのは、理に反しているのは明らかである。そのような組織があるとすれば、病人を衰弱と死に至るまで放置しておくに等しいと言わなければならない。

(7)むすび



 これまでに述べてきたキーポイントを次のように要約することができる。

*「体」という文字は、さまざまな組織を表す代名詞として用いられている。人体は完全な組織の モデルだからである。


*組織における情報の意味は、体が飲食物から栄養を必要とするのに等しい。全身に栄養が行き渡らなければ成長できないように、目や耳を塞いで内外からの情報を拒否したり、適切な情報処理ができない組織は発展できない。


*人体を最も完全な組織のモデルとすれば、理想的な組織のあり方として「一体性」システムの重要性を認めることができる。


*頭と手足にはそれぞれの役割があり、全体の成長発展のために、その役割を果たさなければ健全な状態とはいえない。


*体が悪くなると診察や検診を受けて「悪いところ」を確かめないと治療できないように、組織も客観的な批判を受け入れて改革を進めるべきである。批判を拒否するのは、病気になっても検診や治療を拒否するに等しい。心のほこりを自覚して立て替えないと成人できないように、個人の集まりから成る組織もほこりの掃除が必要である。


                           〈おわり〉

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Author:万年哲学者(Always Philosopher)
 "万年哲学者" を自任する80代が半世紀かけて解明した"いのち" の真実を、若者たちに伝えるために発信するブログです。"真実" とは100年経っても価値を失わない発見や表現を意味しています。

 25年前の1991年には日本情報処理開発協会主催公募エッセイ「私たちのくらしと情報化」が最優秀賞を受賞したことがあります。(ブログ内で原文をリンク)情報を心の栄養とみて健全な知情意を育成するために必要な情報論を展開し、その後の急激な情報化の潮流に対して問題点を先取りした内容と自負しています。

 戦後70年にあたる2015年8月、ボランティアで続けてきたHP<戦争を語りつぐ証言集>(http://www.geocities.jo/shougen60/) が延べアクセス23万回となり毎日新聞でも紹介されました。戦争やテロほど生命を破壊する所業はありません。

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