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岡潔:日本への熱い思い
/知情意の育成を願って

◆日本への熱い思い
 
 岡潔(おか・きよし)の名を、いまも覚えている人はどれほどいるだろうか。まして著書を読んだことのある人はごく僅かにちがいない。いまは亡き数学者・岡潔博士は、半世紀前の1960年代(昭和37~44年)戦後の教育のあり方について憂国の書を次々と世に問うたのだが、博士の提唱した情緒を中心とする教育論が読み継がれることなく、最近に至るまでほとんど復刊されなかったことを残念に思わずにはいられない。日本の伝統から大脳生理学までを視野に入れて、独特の表現で情操教育の必要を説いた風変わりな数学者というだけで忘れ去られるのは惜しまれてならない。

 親による幼児虐待、イジメや不登校、さらには無差別殺人などが蔓延する家庭や社会の現状をみるとき、いまこそ岡潔博士の情緒教育論が見直されることを切望するものである。

私は30代の半ば頃、岡潔博士の著書を読んで深く感ずるところがあり、止むにやまれぬ気持ちから、先生(と呼ぶことを了解ねがいたい)の最晩年のある日、とつぜん奈良市にあるお宅を訪ねたことは既に述べた。名も知らぬ若輩の失礼な振舞いにもかかわらず、先生は快く私を居間へ招じ入れ、ひとときの談話を拝聴した。語気を強めて熱弁をふるう先生に対して、口をはさんで質問しようものなら一喝されそうな真剣さに接してタジタジとなった思い出がある。その発想は極端といえる部分があったにせよ、古代から未来にかけて日本への熱い思いをひしひしと感じた強烈な印象が今も残っている。その後、数年ののち新聞で逝去の記事を読み、惜しんでも余りある人を失ったことを悲しんだ。

 先生の没後、私の知るかぎりでは、1970年以後近年に至るまで再刊された著書はないに等しい。一般の市立図書館にも殆ど蔵書はない。ただ、先生は奈良市の名誉市民であったから、奈良県立図書館には著書が揃っている。その蔵書を読み返し、教育論に焦点を絞って先生の思想のエッセンスを解読してみることにしたい。

『私の人生観』には、昭和の始めパリに留学していた頃の思い出を語りながら、「日本の歩き方」についての次のような一節がある。すこし読んでみよう。

「どういう歩き方かとひと口にいうと、日本は危険な方から危険な方へとだんだん歩き続け、その歩みを止めない。それは今日もなお続いているのです」
「そこで私が見るに、この先日本が立ち直るのに、じゅうぶん百年はかかります。それから国内を整備するのにもう百年、残る百年で生物の絶滅を救わなければならない。ところがあと三百年、生物が絶滅せずにどうにか持ちこたえてくれるかどうか……」(注1)
 このように、地球環境の汚染が殆ど関心を呼んでいなかった当時、すでに百年の計を立てる必要を説き、日本の将来を真剣に憂慮されていたことがわかる。

(注1)『岡 潔 集』(全五巻・学研版・1969)1『第一巻』205頁「春の草」より



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万年哲学者(Always Philosopher)

Author:万年哲学者(Always Philosopher)
 "万年哲学者" を自任する80代が半世紀かけて解明した"いのち" の真実を、若者たちに伝えるために発信するブログです。"真実" とは100年経っても価値を失わない発見や表現を意味しています。

 25年前の1991年には日本情報処理開発協会主催公募エッセイ「私たちのくらしと情報化」が最優秀賞を受賞したことがあります。(ブログ内で原文をリンク)情報を心の栄養とみて健全な知情意を育成するために必要な情報論を展開し、その後の急激な情報化の潮流に対して問題点を先取りした内容と自負しています。

 戦後70年にあたる2015年8月、ボランティアで続けてきたHP<戦争を語りつぐ証言集>(http://www.geocities.jo/shougen60/) が延べアクセス23万回となり毎日新聞でも紹介されました。戦争やテロほど生命を破壊する所業はありません。

 今後は "超人類" へ飛躍する未来をひらく「生命の哲学」に関連ある情報を提供したいと願っています。

 メール=shougen11910@yahoo.co.jp

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